公立園における写真導入の実践と効果~ICT導入・活用事例発表会 尾張旭市セッションより~
- 保護者からのニーズ・時代の変化
- 保育士の業務負担軽減のために
- 保育の見える化を実現するために
- 保護者の利便性や安心感・満足度の向上
- 保育士の業務負担の軽減
- 保育士同士での会話や共有、モチベーションの増加
尾張旭市こども子育て部の山下氏と北川氏をお招きし、公立園におけるICT導入のきっかけや写真の活用方法、導入後の成果などについてお話いただきました。
※本インタビューは2024年8月に開催した「ICT導入・活用事例発表会」のレポートです。
保護者からのニーズや時代の変化に伴って、写真の方が保育が保護者に伝わりやすい
なぜICT化しようと思ったんですか?
尾張旭市 山下さん:
保護者からのニーズがあったり、時代の変化に伴い写真の方が、保育が伝わりやすいという状況ができてきたのが1つの大きいきっかけだったと思います。
映像や写真で伝える方が保護者に伝わりやすいですし、こちらから会話することについても写真と照らし合わせることで、保護者にお子さんの姿が伝わりやすいというメリットがありました。
一方で保育士さんが写真を一生懸命撮ろうとすることで、業務に少し負担が出てきたというのも課題として上がっていました。
やはり写真を撮ろうとすると、その分人手が取られますので、安全面だったり子どもとの関わりや向き合う時間がしっかり取れるのだろうか?という不安が少しありました。
もう1つは、写真の販売は保護者会にお願いして、掲示して販売していただいてたのですが、園でお金を扱うことの精神面での不安感だったり、就労の関係で保護者会として扱うのがすごく難しくなってきた状況がありました。そこで保育課と相談したことが2つ目のきっかけです。
尾張旭市 北川さん:
平成28年度からこども子育て部という子どもに特化した部を設置しまして、子ども関係の課題の1つとして「保育士の負担軽減」が挙げられていました。 そのための手段の1つとして保育業務のICT化が検討されてきました。
ルクミーを選んだ理由としては、 当時、ユニファさんが写真を中心としたオンラインサービスの拡大をしていたことや、 写真の売上の一部を保育園の備品などに還元していただける点(導入当時)、それから市内の民間の保育園で導入実績があった点などから、ルクミーを選定させていただきました。
庁内の様々な課題を連携して解決していくような体制が取られていたので、ハードルもなく進めれた
自治体特有の導入ハードルと、そのハードルをどのように超えてきましたか?
尾張旭市 北川さん:
国の補助金があるから導入を進めるというところもよくあると思いますが、本市の場合はそういった補助金があるから運用を進めたというよりも、保育士の負担軽減を目的に導入を進めてきました。
以前、私の所属していた企画課では、庁内の様々な課題を連携して解決していくよう業務を所管しており、比較的庁内連携も進めやすく、ハードルなく進められたかと思います。
また本市では、保育の支援システムは他社のシステムを活用させていただいており、ルクミーフォトも支援システムの導入も、まず1園から試行運用して、その後、全園に展開していったという流れがございます。
導入時の検討では、地元の写真館との共存というところで、心配の声が上がってましたが、実際導入してみても反発は一切なく、現在もお誕生日カードで使う写真を地元の写真館に印刷していただいたりしております。写真館も人手不足だとか高齢化とかで、なかなか多くの仕事を請け負うことも難しくなってきたっていう事情もあるので、共存ができてると思います。
言葉だけでは伝わらないところ、写真によって保護者に安心感を。
写真共有について、現場ではどのように活用していただいてますか?
尾張旭市 山下さん:
カメラマン派遣は年間で12回していただいており、カメラマンさんに色々相談しながら、日々の日常保育を中心に撮っていただくことが主になってます。
カメラマンさんには、子どもの自然な様子を写してもらい、そこでお友達関係が少し見えたり、「この子こんな表情して、いい顔して、こんなこともできるのね」っていうところが、保育士にも目に見えて分かるし、保護者の方にも目に見えて分かるため、そこが1番良いところかなと感じています。
販売については、枚数もたくさん撮っていただくのですが、なるべく枚数がかさまず、保護者の方が見やすい状態にできるように、お子さんの姿がよく届くかなっていう写真を中心に販売するよう心がけており、大体、2、3ヶ月に1度ぐらいでまとめて販売しています。
朝から遅い時間まで就労している保護者がほとんどですので、なかなかコミュニケーションが取りづらいという現状があって、言葉だけでは伝わらないところを、写真を使うことによって、保護者の皆さんにも安心感を伝えていくのが活用としてのメインです。
尾張旭市 北川さん:
ICTでは、登降園管理やおたより・ドキュメンテーション・連絡帳を活用してます。
ルクミーさんに関しては、写真の販売など、一部保育園で撮影した写真もアップロードしています。
他社のICTと併用をしていますが、保育士さんの負担は軽減できていると考えています。
目に見えて保育が伝わりやすい、成長の一場面を保護者に伝えしやすい、受け取りやすい。
写真を共有や販売をし始めてから良かった点と悪かった点を教えてください。
尾張旭市 山下さん:
やはり1番は、保育士の写真を撮る負担が減ったというところが1番大きかったと思います。
写真を撮るというと、写る子どものバランスを取ることや、枚数を確保しなければいけないところもあるので、そういうところの気持ちの負担と業務軽減というところが1番大きかったかなっていう風に思っています。
先ほどお話したように、目に見えて保育が伝わりやすい、成長の一場面を保護者の皆さんに伝えやすく、受け取ってもらいやすいというのは、写真の良い点だと感じてます。
あとは、自分も子育てしながら仕事をしていましたが、保育園にお迎えに行くと遅い時間になってしまうため、写真の掲示が見れないこともありましたが、このシステムだと、お母さんたちも忙しい合間に時間を見つけて、自分の都合の良い時間に申し込みができたり、ゆっくり写真を選ぶことができるという点は本当に良かったかなって思います。
お声をいただいているのが、親御さんだけじゃなく、おじいちゃん、おばあちゃんなど周りの人も購入しているそうです。たくさんの人に見てもらって、お子さんの様子をたくさんの人に共有して、みんなで育ち合うみたいな、そういうところで家族の繋がりができてくるのかなと感じています。
悪いというわけではないですが、ちょっと大変だと思ったところは、枚数も多いので販売する前に写真チェックをするとこです。そこに負担感を感じていましたが、ばらつきチェックなど色々な機能が追加されてきたので、今では悪いというよりも良い方に意味が変わって来ていると思います。
保護者からの『こんな風に過ごしてるんですね。安心します。』の声
ルクミーを導入したことやその周辺のお取り組みから、保護者満足度にどのような変化があって、どう受け取られていらっしゃいますか?
尾張旭市 山下さん:
先ほどとちょっと重なる部分もあるんですけど、やっぱり仕事をしながらで大変なので、自分の好きな時間にゆっくり見れるというのが1番のメリットかなっていうお声はたくさんいただいてます。
お子さんの成長が分かるところをじっくり見ていただけるっていうところで、保護者の方からは「すごくいいね」っていう言葉をいただいてます。
あとは、保育園に預けた時になかなか目でしっかり見れない姿もあるので、朝来た時には泣いていたり、「集団に本当に入れてますか?」といった不安があったり、「ご飯どうやって食べてるの?」「お昼寝ってどんな感じでやってますか?」っていう、やっぱり生活そのものが写真によって見ることができるので、保護者の方の安心感に繋がってるかなって思います。
親御さんからも「こんな風に過ごしてるんですね。安心します。」っていうお話はいただくようなことが増えました。
あともう1点は、写真を見ながらお子さんと一緒に選べるので、ゆっくり「この時こんなことしたんだね。」とか、「こんないい顔してやってすごいね。」とか、そんな形でお母さんとお子さん、お父さんとのコミュニケーションの充実につながった、そんな声も増えてます。
保護者への‟保育の伝わりやすさ”と保育の質の向上
写真の共有の価値をどのように捉えていますか?
尾張旭市 山下さん:
そうですね、やっぱり何より‟保育の伝わりやすさ”というところですかね。そこは価値として1番大きいかなっていう風に思っています。
園内研修とまではいかないですが、客観的に保育を見るっていうところでも1つの価値があるかと思います。保護者の満足度と、プラスで保育士の方も客観的に写真を通して、例えば「この環境どうだったかな」とか「この子こんな表情してるね。こんなところからこんな風に語ってるといいよね。」っていう、保育士さん同士のコミュニケーションがあって、それが保育の質の向上に繋がるっていうのは、写真を通した価値かなと感じています。
あとはみんなやっぱり子どもが好きで仕事しているところもあるので、子どものいい表情をこう撮っていただけると、それを見て「自分たちってちゃん保育できてるね」とか「お子さんに、ちゃんとしっかり向き合って関われてるね」っていう、何より保育士さん自身の保育の振り返りと共に、‟安心”とそれから‟満足”や‟やりがい”という、そういうところにも繋がるところもあるのかなっていうのが、長く写真を共有する中で感じているところです。
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