未来会議レポート

療育は訓練ではない。その子の毎日を「わかりやすく、より楽しく」するための工夫の連続。友達の中で認められ、共に育ち合うインクルーシブ保育の実践

2026年02月26日

「インクルーシブ保育」という言葉を耳にする機会が増えましたが、「具体的にどう環境を作ればいいのか?」といったお悩みを抱える保育者の方も多いのではないでしょうか。

2025年9月に開催した「保育をどうしよう未来会議」では、学校法人渡辺学園 理事長・港北幼稚園 園長の渡邉 英則先生と、一般社団法人うるの木 代表理事の長岐 裕美先生をお招きし、幼稚園の敷地内に児童発達支援事業所「ゆわっこのおうち」を開設した実践事例についてお話を伺いました。

障がいの有無に関わらず、すべてのこどもが共に育ち合うための「環境設定」とは? そして、保育者と家庭が連携し育ちを支えていくためのヒントをお届けします。

こどもが社会に合わせるのではなく、社会がこどもに合わせて変わる

セミナーの冒頭、渡邉先生は「共生社会」の本質について、従来の考え方を転換する必要性を語られました。

これまでは、障がいのあるこどもが園や学校のルールに適応できるよう「訓練」し、みんなと同じことができるようになることがゴールとされがちでした。しかし、これからの共生社会においては、「園や学校側が、多様なこどもたちに合わせてどう変わっていくことができるか」が問われています。

「その子もクラスの大切な一員」として認め、その子なりの居場所をどう作っていくか。こどもを変えようとするのではなく、保育の環境や大人の関わり方を変えていくことこそが、インクルーシブ保育の第一歩です。

療育は「訓練」ではなく「仕掛けや工夫」

では、具体的にどのような環境を作ればよいのでしょうか。長岐先生は「療育」を駐車場に例えて、わかりやすく説明されました。

「広い敷地に自由に車を停めて」と言われると、どう停めていいか迷ったり、パニックになったりする人がいます。でも、そこに白線を引く(環境設定をする)ことで、誰もが迷わず安心して停められるようになります。これは障がいのある人だけでなく、全ての人にとって『親切で分かりやすい』工夫です。療育とは訓練ではなく、こうした『仕掛けや工夫』のことなのです。

この視点に基づき、港北幼稚園の敷地内に開設されたのが、幼稚園連携型児童発達支援事業所「ゆわっこのおうち」です。日常生活に支援を必要とするお子さんの成長発達をサポートする児童福祉施設です。

自分らしくいられる「心の安全基地」がある安心感

「ゆわっこのおうち」の特徴は、幼稚園の園舎に隣接しており、双方のこどもたちが日常的に「行ったり来たり」できるシステムです。

「ゆわっこのおうち」の利用児は、港北幼稚園の中で過ごすことができ、ゆわっこのおうちの職員が寄り添います。

また幼稚園の園児たちも、モヤモヤ・ザワザワした気持ちの時などに、先生から「ゆわっこのおうちチケット」をもらって、「ゆわっこのおうち」に行くことができます。

障がいのある・なしにかかわらず、こどもたち全員にとって「必要な時はゆわっこのおうちが安全基地」と機能しているのです。

自分のペースで安心して過ごせる「安全基地」があることで、こどもたちは落ち着きを取り戻し、また集団の中へ戻っていけるようになります。

その子らしさを保障する環境設定(事例紹介)

セミナーでは、こどもの「困りごと」を「その子の個性」として捉え、環境を変えることで解決した具体的なエピソードが紹介されました。

① 感覚過敏の子が落ち着くことができる「居場所」

お友達に関わりたいけれど、感覚過敏のために距離感がつかめず、近づくと手が出てしまうNちゃん。そこで用意されたのが、段ボールで作った専用の「Nちゃんハウス」です。Nちゃんハウスに入ることで、安心してお友達の近くで活動に参加できるようになりました。これは「Nちゃんがみんなと一緒にいるために必要なアイテム」として、周囲のこどもたちにも自然に受け入れられています。

② 保護者とともに支援していくための「作戦カード」

気持ちがザワザワすると衝動的な行動が伴うAくんに対しては、園とゆわっこのおうち、そして家庭で対応を統一するための「作戦カード(目指したい姿・対応のポイント等をわかりやすくまとめたもの)」を作成し共有しました。 「パニックになったらクールダウン室に行く」「手は出さない」といった約束を視覚化し、周囲の大人が統一した対応をすることで、Aくん自身も自分の気持ちをコントロールする力を育んでいきました。

専門家との連携が、先生の負担を減らす

「インクルーシブ保育」に取り組む際、現場の先生が抱えがちなのが「負担が増えるのではないか」という不安です。

しかし長岐先生は、「園内に専門家(児童発達支援のスタッフ)がいることで、保育者の負担は減る」と語ります。こどもの行動の背景(感覚過敏や身体の使い方など)を専門的な視点で紐解いてもらうことで、先生たちは「なぜうまくいかないのか」という悩みについて、具体的な対応策を見つけられるようになるからです。

また、渡邉先生は「こども同士の育ち合い」の重要性を強調しました。 大人が介入しすぎなくても、こどもたちは得意なこと(車作りや虫探しなど)を通じて自然に関わり合い、助け合うようになります。「ゆわっこのおうち」があることで、障がいのあるなしに関わらず、こどもたちが互いの違いを認め合う豊かな関係性が育まれています。

まとめ:一人ひとりのストーリーを可視化するために

インクルーシブ保育とは、特別な設備を整えることだけではありません。療育は、こどもにとっての訓練の場ではありません。こども一人ひとりの「その子らしさ」を見つめ、その子が安心して過ごせるような工夫(環境設定)を積み重ねていくことです。

こどもたちの「できた!」「楽しかった!」という瞬間を見逃さず、その背景にある一人ひとりのストーリーを丁寧に拾い上げることが、すべてのこどもにとって「自分らしくいられる場になる保育」につながります。

先生の負担を軽減し、こどもの育ちを可視化するICT活用

一人ひとりの成長を丁寧に見つめるためには、「写真による振り返り」が効果的です。

港北幼稚園や「ゆわっこのおうち」でも、写真や動画を活用してこどもたちの様子を記録し、支援のあり方を深める一助としています。

インクルーシブな保育環境を築く上で欠かせないのは、こどもの姿を丁寧に観察・記録し、保護者や職員間と共有すること。しかし、日々の業務に追われる中で、膨大な写真整理や記録作成に時間を割くのは容易ではありません。

そこでここからは、保育者が保育本来の業務に集中する時間を生み出すツールとして、「ルクミー」のICT活用をご提案します。

こどもと向き合う時間を生み出す「ルクミーフォト」。育ちを可視化する「ドキュメンテーション」「すくすくレポート」

撮影から写真整理までを自動化!端末に写真を残さずに園内共有も

ルクミーフォトの写真撮影アプリで撮影すると、クラスや日付を自動で分類しアップロードされ、パソコン画面や「ルクミークラスボード」などで閲覧可能に。パソコンへのアップロード作業が不要になり、連絡帳やおたより、ドキュメンテーション作成時にすぐ写真を使うことができます。

また、スマートフォンに写真データを残さない設定が可能なため、スマートフォンの容量を圧迫しません。個人の端末に写真が残ることによる情報漏洩リスクも防げ、安全に写真を撮ることができます。

さらに、AIが写真の「ブレ・ボケ」「暗い」「顔が写っているか」などを自動でチェックし写真整理をサポート。保育者の業務負担を軽減します。

「育っている姿」を保護者と共有(スマートフォン・掲示どちらもOK)

ルクミーのドキュメンテーションでは、最大20枚の写真を保護者アプリへ配信できます。お迎えに来られない保護者の方も、園での様子をリアルタイムに知ることができます。あたたかみのあるデザインでA4印刷も可能。園内の掲示を通して、保護者との会話が自然に弾むきっかけを作ります。

日々残した保育者の記録を眠らせずに活用し、支援計画へ

日々の連絡帳、日誌、発達記録、そして写真。先生方が大切に残してきたこれらの情報を元に、AIが指定期間の「すくすくレポート(成長レポート)」を作成します。点として存在していた記録が線でつながり、こどもの育ちをより深く捉えることをサポートします。日々の振り返りを、次の支援計画へと繋げていくことができます。

おわりに

ICTツールの導入は、単なる効率化ではありません。事務作業の負担を減らすことで生まれた余裕が、こどもと向き合う「まなざし」をより豊かにします。保護者と共にこどもの成長を喜び合い、一人ひとりのストーリーを大切に育む環境づくりの一助として、ぜひルクミーをご活用ください。

なお、本記事でご紹介した渡邉先生・長岐先生の講演を含む「保育をどうしよう未来会議」のアーカイブ配信は、2026年3月末までご視聴いただけます。ぜひこの機会にご覧ください。

未来会議のお申し込みはこちらから:https://info.lookmee.jp/miraikaigi/


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