未来会議レポート

保育ドキュメンテーションの実践事例|遊びの連続性を支える記録活用と負担軽減のポイント

2026年04月07日

保育の質を高めるための手法として、近年「保育ドキュメンテーション」が注目されています。しかし、保育現場からは「書き方がわからない」「業務負担が増えそう」という声も少なくありません。

2025年9月に開催された「保育をどうしよう未来会議」では、白梅学園大学名誉教授の無藤隆先生と、光の子幼稚園の先生方が登壇。写真を用いたドキュメンテーションが、いかに保育の質向上と負担軽減を両立させるか、具体的な事例とともに語られました。本記事では、明日からの保育に活かせる振り返りのコツを凝縮してお届けします。

【光の子幼稚園の事例】往還型ドキュメンテーション研修に参加し、チャレンジを積み重ねる

ルクミーでは、保育の質をより高めていくためのオンライン研修「往還型ドキュメンテーション研修」を提供しています。

「どんな写真を撮ればいい?」「写真から何を読み取ればいいの?」「どうすれば明日の保育に活かせる?」そんな保育現場のリアルなお悩みを解決し、ドキュメンテーションを「書かなければいけないもの」から「保育を楽しくするもの」へと変えていくための学びの場です。

撮り方のコツや写真からこどもの育ちを読み解くヒントを、ワークショップ形式で楽しく学べるこの研修。2021年から毎年欠かさず参加されているのが、光の子幼稚園の皆さまです。光の子幼稚園が歩んできた、具体的でワクワクするようなチャレンジ事例をお届けします。

はじめは「余裕がない」からのスタート。写真付き記録がもたらしたポジティブな変化

光の子幼稚園でドキュメンテーションを導入する際、園長先生の提案に対する先生たちの反応は「余裕がない」「無理です」という切実なものでした。

転機となったのは、夏休みの試行期間です。実験的に始めてみると、先生たちの意識に変化が芽生えました。「写真がこどもの姿を語ってくれるから、長文を書かなくても伝わる」「自分たち自身が保育を振り返りやすくなった」というメリットに気づいたのです。今では、先生自らが進んで、楽しみながら保育ドキュメンテーション記録を作成する文化が根付いています。

【実践】遊びの連続性のバトンをつなぐ。ドキュメンテーション活用エピソード

ドキュメンテーションの共有は、具体的にどう保育を変えたのでしょうか。同園では、シフトで保育者が入れ替わっても、こどもの遊びの「連続性」を途切れさせず、深く見守ることができるようになりました。

事例①:葉っぱのキャンディ屋さん

前日の「葉っぱのキャンディ屋さん」の遊びのドキュメンテーションを見ていた保育者が、翌朝、葉っぱを集める子の姿を見て即座に「昨日の続きだ!」と察知。スムーズに遊びの深まりに寄り添うことができました。

事例②:ラーメンパーティー

戸外での「パーティーごっこ」のドキュメンテーションが共有されたことで、室内での「ラーメン作り」と情報が結びつきました。後日、湯切りや太い毛糸(麺)を用意することで、遊びはよりリアルで充実したものへと発展しました。

1人の子に焦点をあて振り返る。「往還型ドキュメンテーション研修」を通して実感した変化

往還型ドキュメンテーション研修中にチャレンジした保育実践として、ある慎重な性格の子の事例も語られました。その子の好きな相撲の絵本や番付表を用意したところ、彼が生き生きと遊びをリードするようになり、自信と居場所が生まれました。ドキュメンテーションで保育を丁寧に振り返ることで、次のアクションが見え、こどもの「好き」を尊重した良い保育の変化を実感できたそうです。

無藤隆先生が解説。園の文化としての「ドキュメンテーションの活かし方」

現場の実践事例を受けて、無藤隆先生から、園の文化としてのドキュメンテーションの作り方や活かし方について解説がありました。

従来の文章中心の保育記録に対し、写真を使ったドキュメンテーションの最大の魅力は、理屈ではなくこどもの具体的な姿や、その場の情景の「手触り感」を直感的に伝えられる点にあります。書き方のポイントとして、無藤先生は以下を挙げています。

  • 細部を大切にする:こどもの指先、姿勢、視線など、小さなことに着目し、遊びの細部を大事にする。
  • 理屈に走らない:心情や感覚から入り、「素敵だ」「面白い」という感情を素直に表現する。
  • 気楽に作る:毎日何十分もかけるのではなく、10分程度を目安に負担感を持たずに作るのが継続のコツ。長々と文章を書くのではなく、写真に語らせる意識をもつ。

無藤隆先生に学ぶ、保育ドキュメンテーションを活用した3段階の振り返り

ドキュメンテーションを作った後は、それを「振り返り」に活かすことが重要です。セッション内での「記録を振り返り、語り合う時間をどう確保するか」という現場からのお悩みに対し、無藤先生は「3段階の振り返り」を提案されました。

  1. 日常の短い会話(数十秒〜数分)
    廊下や入り口に印刷して貼っておき、それを見ながら数十秒の立ち話でも良いので保育者同士で感想を言い合う。
  2. 作成時の短い振り返り(10〜15分程度)
    日々の記録を作成するタイミングで、数枚の写真を見ながら「この子たちは何をしようとしているのか」を少しだけ振り返る。
  3. 時間をかけた振り返り(数週間〜数ヶ月に1回)
    時々はまとまった時間を取り、ある程度の時間の流れの中で記録を見直す。何と何が合流し、どう発展したかを確認することで、こどもの「学び」が見えてくる。

明日からできるドキュメンテーション活用の第一歩(まとめ)

共通して語られたのは、「ドキュメンテーションの作成自体を楽しもう」というメッセージです。記録を「業務」として捉えて完璧を目指すのではなく、心が動いた瞬間を数枚の写真と短いコメントで切り取るだけで十分です。そして、それを園内の目に付く場所に掲示し、短い時間でも保育者同士で語り合う風土を育てることが、保育の質向上につながっていきます。

往還型ドキュメンテーション研修、第9期生を募集しています!

ルクミーでは、2026年度も往還型ドキュメンテーション研修を開催いたします。

無藤 隆 先生、大豆生田 啓友 先生、川辺 尚子 先生を講師に迎え、実践に活かせる全4回のオンライン研修です。

例年、研修前は「写真を使って振り返るのは難しそう」と感じていた方が「楽しく写真活用できるようになった」「保育が変わって手応えを感じられるようになった」というお声がたくさん届いています。

■ お申し込みはこちら

https://lookmee.jp/mirasuku/

※定員に達し次第、受付を終了いたします。お早めにお申し込みください。

記録業務の負担を減らし、保育の質を高めるパートナー「ルクミー」

ルクミーは単なる業務効率化ツールではなく、ICTの力で保育者の心にゆとりをつくり、こどもと向き合う時間を増やすためのパートナーです。写真を起点にすべてのデータがつながることで、日々の記録から深い振り返りまでをサポートします。

■ ルクミードキュメンテーション:撮る・選ぶ・伝えるを、もっと軽やかに

ルクミーフォトの撮影アプリで撮った写真は、自動でクラス別・日付別に分けられてアップロードされます。先生はそこから写真を選んで、コメントを添えるだけで簡単に保育ドキュメンテーション記録が作成できます。ルクミーらしい温かみのあるデザインで、A4印刷しての掲示や、保護者アプリへの配信もスムーズに行えます。

■すくすくレポート:日々残した保育者の記録を眠らせずに活用できます

無藤先生が提唱する「数週間〜数ヶ月単位の長期的な振り返り」は、こどもの学びを見つけるために欠かせません。しかし、膨大な記録を遡るのには大きな労力が伴います。

そこで活躍するのが「すくすくレポート」です。指定した期間の記録や写真をAIが参照し、こどもの成長エピソードを要約・可視化します。

写真に写っている内容からキーワードを抽出したり、よく一緒に遊んでいるお友達を割り出したりしてくれるため、「長期的な振り返り」をする際に役立ちます。膨大な記録を遡る手間が省け、先生方がこどもたちの育ちにじっくりと心を向ける時間を生み出します。

一人ひとりのストーリーを大切に育む環境づくりの一助として、ぜひルクミーをご活用ください。


なお、本記事でご紹介した講演のアーカイブ配信は、以下の日程でご視聴いただけます!ぜひこの機会にご覧ください。

【アーカイブ配信日】

2026年4月13日(月)、16日(木)、4月22日(水)いずれも13:30~14:50

▼アーカイブ視聴のお申し込みはこちらから:
https://attendee.bizibl.tv/sessions/sekHPxCLZL85

▼ルクミーICT・AIに関するご相談はこちらから:
https://lookmee.jp/lookmee_form.html


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