ルクミー みらい保育スクール
往還型「ドキュメンテーション活用」コースのリアルな成果速報。参加者はポジティブな変化を実感
2021年12月15日
ルクミーが主催する保育施設向け実践型オンライン研修「みらい保育スクール」では、園・施設の課題解決や保育の質向上を目指す先生方を、さまざまな研修プログラムでサポートしています。
その中のひとつである往還型「ドキュメンテーション活用」コースは、無藤隆先生(白梅学園大学名誉教授)、大豆生田啓友先生(玉川大学教授)、川辺尚子先生(保育のデザイン研究所)をお迎えし、2021年7月から10月まで、全4回で実施しました。
まずは参加者それぞれが保育に関するチャレンジテーマを設定し、各園・施設で写真を撮って持ち寄ります。
その後、グループディスカッションを行うことで、写真記録とその活用を学んでいく往還型の研修です。
参加者の皆さまは、参加前後でどのような変化があったのでしょうか。
参加者の事前課題の多くは「写真を撮っているが振り返りに使えていないこと」
まず、今回の研修参加者へ事前アンケートを行いました。
ドキュメンテーションの活用経験がある方もいましたが、作ったことがない人も全体の約24%いるなど、参加者の実践状況はさまざまです。
写真や動画を活用した保育の振り返りに関して、それぞれの園・施設の課題を聞いたところ、以下のグラフのように、「写真や動画は撮りためているものの、保育者の振り返りに生かせていない」「写真の撮影や、整理などにあてる時間やゆとり(余裕)がない」が最多でした。
研修ではチャレンジテーマに沿って実践
研修は、4回にわたって以下の流れで実施しました。
≪プログラム≫
1回目)「保育の質向上のポイント」の講演を聞き、園の現状と目指す保育を踏まえ、「チャレンジテーマ」を考える
2回目)「チャレンジテーマ」をもとに写真を撮影して持参し、「写真の読み取り」「資質能力の読み取り」を行う
3回目)「チャレンジテーマ」をもとに写真を撮影して持参し、ドキュメンテーションを作成。「子ども」や「保育者」の視点で写真を読み取る
4回目)「ドキュメンテーション」を発表(成果発表)
初日には、大豆生田先生より以下のような講義をしていただきました。
- ドキュメンテーションは保護者に発信するためのツールではなく「記録」であること
- ドキュメンテーションは毎日続けることが大切。継続して今日の子どもの姿を振り返り、明日の保育計画に活かすことが大切であること。
- 「園ではこんな風に大事なことがありますよ」ということが見える化されることで、保護者は協力的になってくれる。それがただ写真を出すだけとの決定的な違いであること
講義のあと、各自のチャレンジしたいテーマに合わせてドキュメンテーションを実践していくという流れです。
研修後は「子どもの理解が深まった」など参加者の多くが変化を実感
4回の研修を終え、参加者にはどのような変化が見られたのでしょうか。
4回目の成果発表の例で具体的にご紹介します。
例:牟礼保育園 山本先生のドキュメンテーション
※吹き出しは、大豆生田先生がよいと好評されたポイントを、編集部で加筆
今回研修に参加された、保育士12年目の山本先生。
研修1回目の大豆生田先生のお話の中で、「この時期にこの遊び、このおもちゃ、と決まっていませんか」との言葉を受けて自身を振り返ったところ、例年そうであったことに気づいたそうです。
そこで、「子どもの姿や興味関心と、保育者である自分が取り入れたいと考えたねらいが重なったときに、子どもたちが楽しみブームにつながっていくのではないか」と考えた山本先生。
研修でのチャレンジテーマは、「毎日ドキュメンテーションを作り、子どもたちの姿に着目した環境づくりをすること」として、ドキュメンテーションを実践されました。
発表のドキュメンテーションでは、子どもたちの遊ぶ姿を写真でとらえ、遊んでいる場所や子どもたちの色への興味、大人のしぐさをまねる子どもの姿などさまざまな気づきを振り返り、環境づくりを実践する様子を発表されました。
今回の研修でドキュメンテーションを作る際、山本先生は職員室で作っていたそうです。
その際、以下のようなことを感じたといいます。
- 作業中、他の先生と写真を見ながら「こうでね、ああでね」と話す機会が増えるので、自分とは違う目線での意見を聞けて勉強になる
- 同じクラスの職員も常にカメラを持って異なる目線で写真を撮ってくれるので、「この子がこうでね、ああでね」という会話で他の目線を知ることができて勉強になっている。
これに対し、講評の大豆生田先生からは「保育は自分のパターンが決まってきてしまうから、他の先生の目線で意見をいただいて勉強することはすごく大切」というお話がありました。
参加者の皆さまも、「ドキュメンテーションというツールは、ただの記録ではなく、周囲の先生の目線も取り入れて子ども理解を深めながら、子どもの姿ベースで、明日の保育を考えていくツールである」と再認識できたようです。
4回目の終了時に実施したアンケ―トでも、「子ども理解の視点が深まった」「『写真に残したい』と感じるシーンが増えた」に対して、ほぼすべての参加者が「はい」と回答。
保育の質向上に直結する「保育者の子ども理解」が深まったことがわかりました。
また、「写真を使った振り返りを保育の計画に活かすようになったか」の質問に対しては、研修前から取り組んでいる方を含め、88%の参加者が活かす状態になったと回答。
無藤先生と大豆生田先生が「保育の振り返りを明日の計画に活かすようになることが大事」とおっしゃっていたように、まさに理想的な変化が多くの参加者に見られました。
期待した成果を感じられた今回の研修。参加者の方々には、学びを今後の保育に役立てていただけたらと思います。
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※本インタビューは『スマート保育園・幼稚園・こども園通信』2021年度12月号からの抜粋です。『スマート保育園・幼稚園・こども園通信』はルクミーをご利用中の園・施設様向けに毎月発刊している刊行物です。バックナンバーは、ルクミーをご契約頂いた園・施設さま・ルクミー みらい保育スクールへご参加頂けた方のみが閲覧出来る「ルクミールーム」内にてご覧いただけます。
※Web版とPDF版で編集の都合上、一部内容が異なる場合があります。
※記載内容はインタビュー当時の内容です。